乳頭縮小術には様々なデザインによる方法が報告されています。
一般的な手術方法だけでも何通りかあります。
そして、乳頭縮小術をたくさんされている医師はおそらく独自のデザインを持っていることが普通です。
乳頭縮小術の手術方法はそれくらいバリエーションに富むものです。
絵で描くと簡単なようで、実際には乳頭には様々な形や状態がありますのでそれに合わせていくつかの方法を使い分ける必要があります。
ここでは有名な先生方の乳頭縮小術の方法(主に女性の乳頭の手術方法)についてお伝えしていきます。
乳管を温存する乳頭縮小術
女性の場合は授乳をする予定がある方には乳管温存法による手術を行う必要があります。
乳管温存法は文字通り乳管の機能が保たれるために乳頭を縮小したとしても母乳の通り道が保たれます。(授乳分泌の温存)
今後、授乳の予定がある方や可能性がある方は乳管温存法による乳頭縮小術を行います。
乳管温存法は乳管が入っている乳頭の中心の柱を残して周りの壁の部分に処置を加えることで乳管を温存しながら乳頭を小さくします。
Lewis法が有名ですが、そのほかSperli法、Regnault法、Ferreria法、Lai法など名医の先生方によって様々なデザインが報告されています。
以下に代表的な乳管温存法を挙げていきます。
乳頭の径を小さくする方法(Pitangui法)
この方法は主に乳頭の径を小さくするときに用います。
乳管を残してケーキ状に切除します。
乳管を温存するという制約があるためどのようにでも小さくできるわけではなく限界があります。
乳頭の長さを短くする方法(Regnault法)
この方法は乳頭の高さを低くする方法です。
中心の柱を残して周りの皮膚をドーナツ状に取り除き、長さを短くします。
残した柱は理屈上短く押しつぶされますが、人の組織は柔軟性があるためとくに問題ありません。
経験的にデザイン時の短縮具合に比べると結果的には長くなる(控えめな結果になる)ことが多いです。
乳頭の長さを短くし、乳頭の径を小さくする方法1
この方法はPitangui法、Regnault法を組み合わせたデザインになります。
乳頭の高さと径を両方小さくしたい場合に行います。
現在国内のクリニックで多く採用されているデザインです。
乳頭の長さを短くし、乳頭の径を小さくする方法2(Lewis法)
乳頭の径と高さを両方小さくする方法です。
乳頭の径を小さくする方法はPitangui法でご紹介したケーキ状に切除する箇所を3か所設けます。
さらに、乳輪部分にも3か所皮膚を取り除きます。
以上のような手術方法が一般的に行われる方法になります。
当院ではほとんどの場合乳管温存法を行いますが、上記にご紹介した方法で行うのはおよそ2割程度です。
そのほかの症例はまた別の乳管温存法のデザインで行っております。ここでは割愛します。
乳管を温存しない乳頭縮小術
乳管を温存する必要がない場合にはデザインの自由度が広がります。
より柔軟にデザインを行うことができます。
最も有名な方法は楔状切除法(楔形切除法)になります。
楔状切除法
乳頭先端部分をVの字に切除して縫いよせます。
乳管は切断されますが、どんなに長い乳頭でも短くすることができます。
乳頭縮小術の手術方法の選択
乳頭を小さくしたい場合には乳頭を温存する方法で行うのか、温存しない方法で行うのかは医師と話し合う必要があります。
温存するかどうかを決めた後はどのようなデザインでおこなうかは受ける方が決めることはできません。
要望を聞いてそれに近づける方法を専門の医師が決めます。
どの方法が良い悪いなどということを受ける方が判断できるものではありません。
乳頭縮小術の手術方法の違いによる経過の差
どの手術方法を選ぶとどのような経過をたどるか、ということが気になるかもしれません。
しかしながらどのような手術方法を選んでもダウンタイムなどを含めて大きな差はないと考えて差し支えありません。
しいていうならば陥没乳頭の手術などでは敢えて縫わない手術が行われることがあります。
このような治療方法の応用を乳頭縮小術に行った場合には術後ケアに差が出てきますので主治医に確認する必要があります。
乳頭縮小術の手術方法のまとめ
ここまでご紹介したように乳頭縮小術はさまざまな手術方法があります。
どの手術方法で行うかはご要望と状態によります。
どの手術方法が優れているなどというお話ではありません。
乳頭縮小術では手術方法の選択も重要ですが、じつはそれと同じくらい大事なことがあります。
それは縫合方法です。
形成外科の基本中の基本ですが、差が出る部分でもあります。
また別の機会に詳しく書きたいと思います。
医師 石川勝也
2003年 防衛医科大学校卒業
日本形成外科学会専門医
日本美容外科学会専門医